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化粧品成分/美容・健康情報 AtoZ 記事一覧へ レチノールクリームによる好転反応？ 〜素人判断で判断できないレチノール反応〜 レチノールとは平たくいえば、ビタミンＡのことです。動物性食品であれば、ビタミンＡは鶏レバーや豚レバーに、驚異的に含まれています。また鶏卵を２個摂取することで、1日あたりの所要量の1/4をまかなえます。植物性食品であれば、ニンジンや青物にβカロテンなどとして多く含まれており、経口摂取された後は体内で必要に応じて、ビタミンＡに変換さます。このんことからβカロテンなどは、ビタミンＡ前駆体またはプロビタミンＡと総称されています。 偏食や不摂生でこのビタミンＡの摂取を怠ると、乾燥肌や荒れ性や老け顔になり、顔にシミやシワ（しわ/皺）できやすくなり、また皮脂腺が詰まりやすくなることが、古くより知られています。逆からいえば、しっかりビタミンＡを摂取すれば、たとえばシワの改善も期待できるということです。そのビタミンＡをお肌に直接塗りこんで経皮摂取させてシワを改善しようというのが、レチノールクリームというわけです。首のシワへの改善効果を初めて発見したといった宣伝も見かけますが、そのようなことは古来より容易に推測できていたことでしょう。 再びお話は経口摂取に戻りますが、このビタミンＡはビタミン群の中で、通常の経口摂取において唯一過剰摂取が懸念されるビタミンでもあります。たとえば、毎日多量の豚レバー等を食することで、副作用が生じる危険性があります。最初は吐き気や頭痛や下痢、めまいや疲労感に始まり、慢性化すれば口内炎や腹痛や貧血、そして生理不順や肌荒れや脱毛などの症状が現れることが知られています。とくに健康食品やサプリメントとしての多量摂取は要注意で、死亡事故さえ発生しています。なおプロビタミンに関しては、過剰摂取による副作用は、ほぼないと考えられています。 このように扱いが最も難しいビタミンＡですが、お肌に直接供給する場合の許容摂取量というものは、まだまだ充分に算定されていないようです。そのためか、日本における薬用化粧品（医薬部外品）に配合されるビタミンＡは効力の弱いものに限られ、また配合量も厳しく制限されているようです。消費者を健康被害から保護するための、一種の安全策とも考えられます。配合量が少ないために、シワ取り効果も低いといったご意見もあるようですが・・・。 いっぽう、海外のレチノールクリーム、たとえばハワイやグアムで販売されているアメリカ産のレチノールクリームは、配合量が高いまたは効力が高いビタミンＡが配合されていて、しわ取り効果が高いという情報があるようです。しかし高い効果を得ることが可能ということは、副作用の危険性も高まるということになります。日本人の皮膚は、欧米人の皮膚に比べてビタミンＡに弱いといった情報もあるようですので、そのあたりへの考慮も必要でしょう。従いまして海外で購入したレチノールクリームは、お土産として知人にプレゼントするのではなく、ご本人がお使いになられるほうが無難だと考えられます。 （ここまでのブログ分割記事　ココログ / アメブロ / はてな） さて、このレチノールクリームを塗って、期待していたよりも効果がなくともお肌に異常がなければよろしいのですが、痒みや腫れやブツブツなどの肌荒れが生じた場合は、注意が必要です。基本的には即刻ご使用を中止すべきでしょう。また、まともな製品であればその注意書きには、そう書かれているはずです。それを好転反応だと思い込んで使用し続けると、お肌はとんでもないことになりかねません。このように書くのは、じつはインターネット上の悪質な、無責任で拝金主義のアフィリエイト広告が、じつに多いのです。レチノール反応（好転反応）の症状が出ても我慢して使い続けなさいというような・・・。 化粧品販売サイトでも、レチノールクリームによってカブレが生じた場合に、「レチノール反応だから心配ない」といったことを記述している悪質なオンラインショップもあるようです。この場合は販売者の主張としてではなく、体験談として掲載している場合が多いようです。体験談を掲載した場合は法的にはサイト主の主張なのですが、消費者の方はどうしても第三者の意見として捉えてしまう傾向があります。このあたりは重々ご注意下さいませ。 また、エステサロンさん等においても、同様のことがあるようです。レチノールクリームを塗ったらかぶれてきたのに、好転反応だから問題ないといった具合です。レチノールクリームに限らず、お肌の収拾がつかなくなるまで施術を受け続け、いよいよ症状の収集がつかなくなってから皮膚科さんでの治療、そして国民生活センターさんへの苦情/クレームの仕立てといったことも、少なくないようです。 そもそも好転反応とは、我々化粧品メーカー/販売者ごとき素人が、適正に判断できるものではありません。それは医療のプロであるお医者さんのみが、判断できることです。お医者さんによっては誤診さえもしかねないのが、この好転反応です。それゆえ厚生労働省は、好転反応だといって使用や購買の継続を消費者に促すことは、厳しく禁じています。エステサロンさんに対しても、同様です。ですからお肌に異常が出た時点で、そもそもその施術は失敗であり、即刻中止すべきなのです。別の言い方をすれば、好転反応を伴う施術は、重大な違法行為となります。 医師の指導のもとでレチノール剤を使用するのであれば、お肌に異常が出た場合は、好転反応であるかを見極め、またその異常に対して対処することもできます。しかし医学的知識の乏しい素人に、いったいどのような安全策が講じられようというのでしょうか。不可能でしょう。たまたま当てずっぽうで好転反応であればまだしも、ただの悪化である危険性があるわけです。弊社はもちろん、レチノールクリームの効果を否定したり、危険だと主張しているわけではありません。お肌に異常が発現した場合は、即刻使用を中止すべきだということを、言いたいだけです。 （ここまでのブログ分割記事　ココログ / アメブロ / はてな） 既述のようにレチノール反応であるか否かを見極めるのは難しい理由として、お肌に異常が生じる原因はレチノールそのものであるとも限らないという難しさがあるからです。レチノールクリームに含まれる、防腐剤や号面活性剤などの化学物質も、肌トラブルを引き起こす危険性もあるわけです。じつにこういった肌トラブルは、最近急激に増加しているようです。 「耐性のある人 vs 耐性のない人」と題した別の記事にも書きましたが、化学物質に非常に強い方と化学物質に極端に弱い方の二極化が、最近顕著になってきています。その判断方法のご参考ですが、「ハンドクリームを塗ったら浴槽で手が異常にふやける」と題した別記事にも書きましたが、ハンドクリーム等に弱い体質の方がハンドクリームを塗布すれば、湯船で異常に手がふやけるような症状が出ます。皮膚組織の細胞が化学物質によって、壊死してしまうということです。手荒れ防止のためのハンドクリームが、手あれの原因となってしまうのです。 ハンドクリームの場合は、健康被害が出るのは手指です。しかしレチノールクリームの場合は、肌ダメージが生じるのは主としてお顔です。お顔の場合は手よりもお肌は薄く、当然ながらリスクは高まるでしょう。またダメージを受ける部位がお顔ゆえ、取り返しのつかないことも懸念されるわけです。もしカブレが生じた原因がレチノール以外の化学物質であって、それを好転反応と間違った判断をして、好転反応がつらいなどと言いながら、ヒリヒリ痛いのを我慢しながら使用し続けば、いったいどうなるのでしょうか・・・。想像するだけで、とても恐ろしいことです。 （ここまでのブログ分割記事　ココログ / アメブロ / はてな） レチノールクリームで有効なしわ取り効果を得るためには、それなりのリスクは覚悟しなければなりません。そこで発想の転換をしたいのですが、やはり安全性の高いビタミンＡの摂取方法は、通常の食品として摂取することでしょう。極端に豚レバー等を食しなければ、まずビタミンＡ中毒になることはありません。というのも、きちんとした食事をしない方ほど、特別なスキンケア製品にこだわる傾向があるからです。弊社はしばしば百貨店さん等でタラソテラピー製品の実演販売をさせて頂きますが、鶏卵をまったく召し上がらない卵嫌いの方で、高価なコスメでお肌をいたわっている（？）方も、失礼ながら多く見受けられました。 冒頭にも申し上げましたが、鶏卵にはビタミンＡが豊富に含まれております。またシスチン（Ｌ-システインと同等）などの美肌たんぱく質も、豊富に含まれております。いわば、超美肌食品です。しかし20世紀には、高コレステロールで健康に良くないといった情報がアメリカから発せられ、日本でも甚大な風評被害がありました。今ではその誤解が解けているようですが、まだまだ一部には根強く残っています。おそらくそれが今だ悪影響を、及ぼしているようです。たとえば、「卵にはコレステロールが含まれていて不健康になるからＬ−システイン剤を服用するほうがよい。」と主張されている薬剤師さんも未だにおられるようで、風評被害の根深さには驚くばかりでした。 以上のように、頚部（首周り）やお顔のシワが気になるのでしたら、まずは食事から考えるべきでしょう。通常の食品によるビタミンＡ摂取は危険性がほぼないばかりか、特別な費用も要しません。いっぽうレチノールクリーム塗布には既述のように危険性があり、お値段も決して安価ではありません。腸と血管が正常であり、お肌がそれなりに潤っているのであれば、腸から吸収されたビタミンＡは真皮を含む皮膚に到達でき、何らかの改善効果が充分見込めるはずです。それでもご満足できない場合に、初めてレチノールクリームを検討するのが順序であると、アルガ・アイは考えます。 （ここまでのブログ分割記事　ココログ / アメブロ / はてな） 化粧品成分/美容・健康情報 AtoZ 記事一覧へ

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