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ローズマリーエキスで時間差肌トラブル
天然成分は安全というのが幻想です!
この記事で、ハーブとしてのローズマリー自体や、ローズマリー抽出物を配合した化粧水や化粧品の、悪口を言いたいわけではありません。化粧品メーカーの高い理想により開発されたものであるから、それらひとつ一つは美容業界の宝だと思います。しかし天然由来だから安全だといった宣伝で消費者に誤解を与えるのは、好ましいことでないばかりでなく、命を危険に曝すことにさえつながります。このことが大きな問題なのです。最初にお断りをさせて頂きます。
ローズマリーは地中海沿岸地方を原産とする、低木の常緑樹です。最も歴史の古いハーブとされていて、古くは紀元前5世紀に石板に楔形文字で書かれた記述が残っています。古くより防腐効果が知られていて、肉に使用される香辛料として活躍してきました。またローズマリーを燻せば除虫・殺虫効果があるとされていて、除虫菊と同様に使用されていたこともあるようです。
古代ギリシャでは、記憶力を高めるパワーがあるとされていて、学生たちは頭にローズマリーの花輪を被っていたとされています。カトリック教徒との結びつきが強く、邪気を追い払う「聖なる薬草」として重宝されてきました。結婚や葬儀/葬式でも、定番として使用されるハーブであったようです。またヨーロッパでペストが流行った時には、家族の安全を確保するために、窓やドアにかけられたと言われています。その他、悪霊が身体に憑依することを防止するために、ローズマリーの小枝を枕の下に置く習慣もあったようです。
このローズマリーの日常生活での利用が大きく発展したのは、14世紀とされています。イングランド王のエドワード三世の配偶者であるフィリパ・ヘノーは、故郷のフランスから嫁ぐときにローズマリーをイングランドに持ち込み、世界で初めての栽培を開始したとされています。このことはイングランドでの、ローズマリーが民間薬としての地位を築くきっかけとなりました。またハンガリーではエリザベス女王が、ローズマリーの成分をエタノールで抽出した香水のを作るように命じ、世界で初めてのローズマリーの香水ができたとされています。これは一般的には「ハンガリーの水」と称されていて、現在の多くのUSDA認証オーガニック化粧水の、ベースともなっています。
このローズマリーには経皮摂取(外用)、経口摂取にかかわらず、歴史が長い分、多くの効能効果があるとされています。既述の記憶力の向上や若返り効果(抗加齢)、リウマチの改善や風邪の予防・治癒、鎮静・リラックス効果、そして薄毛対策やフケの防止などといったものまで、数限りないでしょう。しかしそれら効果効能の多くは科学的に証明されておらず、迷信やフェイク情報も含まれていていると推察されます。
古くからハーブとして使用されてきたローズマリーですが、バラ(ローズ)と違ってアレルギーを発症することことがあるため、注意が必要です。除虫菊で死亡例があるように、ローズマリーによる死亡例も報告されています。お身体がアレルギー体質ではなく比較的健全で、ローズマリーエキスやローズマリーオイル等を配合したローションやコスメを快適にご使用中の場合は、継続使用しても何ら問題のないことと思います。その化粧水は、ご使用者にピッタリ適しているかもしれません。ここで取り上げているのは、その販売手法に荒っぽい場合があることです。「パラベンやフェノキシエタノールと違って、ローズマリーは天然の保存料/防腐剤だから安心!」といった無責任なキャッチフレーズにより、ローズマリーエキスが高濃度に配合されて化粧水等で、少なからずの消費者が犠牲になっているからです。
「
自然/天然由来は安全?コスメ編
」という過去の記事でも書いていますが、植物性だからとか天然素材であるからということだけで、安全は担保することはできません。むしろ抗菌力のあるボタニカルな成分は、大なり小なり人体にも悪影響を及ぼす可能性があることを、肝に銘じておくべきだと思います。歴史的なハーブとしての用量なら安全性も高いでしょうが、防腐剤をして機能をもたせるような高濃度配合であれば、その危険性は当然ながら高まるでしょう。
防腐剤でもパラベンの場合は、比較的多くのデータが蓄積されていますから、肌ダメージの範囲はある程度限られています。しかしローズマリエキスを防腐剤に使用するようなデータの蓄積は、ほとんどないといっても過言ではありません。ある皮膚炎の患者さん団体の理事長さんが「天然=野生」と言われていたのですが、まさにお肌や人体に、どう牙をむくかはまだまだ未知といえましょう。
この記事を書いたのは、じつは最近、天然防腐剤としてローズマリーエキス(主要成分はロズマリン)を高濃度で配合された化粧品によるトラブル発生が、急に増えてきたように思われたからです。百貨店さんでの店頭販売時やお電話で、お客様からよくご相談を頂戴しますが、トラブル発生の原因が、ローズマリーエキス配合の化粧水等であることが多いのです。しかもそういったトラブルに見舞われる方は、決まってお肌が弱い敏感肌の方やアトピー肌の方に集中しています。
ローズマリーエキス含有化粧品で肌トラブルを起こした方の多くは、「天然防腐剤だから無添加で安全!」という宣伝を、不幸にも信じ込んでしまったようです。過去の記事にも記述しましたが、「天然であれば大丈夫!」というのは、販売側や製造側の高く売るための、偏ったキャッチフレーズでしかありません。過去の記事「
自然/天然由来は安全?コスメ編
」にも記述しましたが、ある女性は肌に重篤な炎症を起こしているのにもかかわらず、「天然素材のみで作られた化粧水でも合わないなんて、私の肌はなんて弱いんだろう・・・。」と、まったく信じて疑うことなく、使用し続けていたとのことです。私が「ローズマリーには、アレルギーや光過敏症を発症させたりする危険性があります。」とお伝えした上で、お医者さんでの診察/治療をオススメしました。その女性は本質を理解されたご様子で、かわいそうなほど表情が落ち込んでいました。
アレルギーや有害な化学物質に対する人体の許容性を説明するものとして、「アレルギーバケツ理論」という表現があります。この理論は正しいとか間違っているとかの、ホットな議論があるようですが、私が経験する限りでは、まったくの間違いではないようです。人体はある程度までのアレルゲンや有害物質を受け入れるが、ある一定以上は拒絶反応が出るというものです。そのタイミングが、化粧水の瓶の半分を使い終える頃か、2瓶使い終える頃かということになりましょう。
化粧品を販売する者は、まずは消費者の安全確保を第一とし、そして満足していただいた代償として、利益を頂戴するべきです。安易に「天然だから安心!」などと連呼して、消費者に事実を誤認させる(=だます)ことは、許されない行為だと思います。厚生労働省のホームページには安全性・有効性情報として、ローズマリーエキスやローズマリーオイルの外用による事故例が開示されているわけですから、「天然の防腐剤だが、光過敏症やアレルギー発生のリスクがないわけではない。」と、適正に消費者に伝えるべきだと思います。
これらの情報が、皆さまのより安全で快適なコスメライフの、一助となれば幸いです。
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