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コチニール色素配合オーガニック化粧品にご注意!
〜 アレルゲンは粘膜を難なく通過する! 〜
この一連の記事は、オーガニック化粧品や自然派化粧品の、悪口を書くものではありません。いわゆる自然派化粧品に対する過信による健康被害を避ける、または重篤化を免れていただくのが目的です。あらかじめお断りしておきます。
オーガニックコスメを知ろうシリーズK
前回の記事
では、オーガニックコスメのアトピー性皮膚炎(アトピー肌)への使用における、危険性について書きました。今回は口紅などに使用される天然成分「コチニール色素」について書きたいと思います。
「虫をつぶして得た色素であっても、それは天然着色料。こんな着色料を練り込んだキャンディーを販売しても、本当によいのだろうか・・・。」
これはコチニール色素が食品に使用され始めた当時の、大手菓子メーカーのベテラン営業マンのつぶやきでした。この天然着色料は、エンジムシ(臙脂虫)という虫から得られる色素です。購買者と見込まれるお子様や若い女性に対して、少なからずの罪悪感を、感じていたかもしれません。
昭和の日本では、さまざまな危険性の高い添加物が、使用されていました。人工甘味料としては、「チクロ」があまりにも有名でしょう。発ガン性や催奇性が指摘されて、1969年に使用禁止になるまでは、しっかりと市民権を得ていました。
昭和40年代〜50年代にかけて、このチクロと同じく使用禁止になったものに、「赤色1号」や「赤色101号」などがあります。やはり同様に、強い発ガン性や催奇性が指摘されていました。これらはいわゆる「タール色素」と呼ばれています。しかしすべてのタール色素が、禁止されたわけではありません。
比較的毒性が低いとされたタール色素は、平成まで生き残っています。現在日本で使用が許可されている赤色の合成着色料は、「赤色2号」「赤色3号」「赤色40号」「赤色102号」「赤色104号」「赤色105号」「赤色106号」です。日本で危険性が低いとされていても、欧米諸国では赤色2号や3号は危険性が高いとされ、使用が禁じられています。
こういった背景もあり、昭和の終わりの頃には、ある種の「天然主義ブーム」が起こりました。赤色の合成着色料の代わりに天然由来の色素を使用して、食品の安全性および付加価値を上げようというものです。これが冒頭の、菓子メーカの営業マンのつぶやきにつながったわけです。
コチニールによる健康被害は、その後しばしば発生していたようです。そして厚生労働省によって、コチニールによるアレルギーやアナフィラキシーショックに関する注意喚起がなされたのは四半世紀後の平成24年であったわけで、下記のように添加物に関する注意喚起がなされています。これらはコチニール色素の別称、またはコチニール色素含有物です。
1.医薬品、医薬部外品、化粧品の場合の成分名
コチニール、カルミン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン
2.食品の原材料名
コチニール色素、カルミン酸色素、着色料(コチニール)、着
色料(カルミン酸)
このコチニールによる死亡事故は報告されていないようですが、なかったとは限らないでしょう。これまでの原因不明の突然死が、コチニールによるアナフィラキシーショックであった可能性も残っているわけです。
コチニール含有の食品を摂取してアレルギーを発症するのは、まれだといわれています。これは消化器官には、関所があるためです。しかしコチニール配合の化粧品の場合は、ある意味無防備な皮膚をとおして摂取されるわけです。とくに唇などの粘膜である場合は、皮膚よりもっと簡単にアレルゲンは通過できます。ですからオーガニックの口紅/ルージュを購入する場合は、全成分を必ずチェックする必要があります。
経皮摂取または粘膜をとおして摂取してコチニールアレルギーを発症した場合は、食品添加物に細心の注意を払わなければなりません。たとえ原因と推定されるアレルゲン(たんぱく質)を大幅除去された安全性の高いコチニール色素であっても、油断はできないでしょう。とにかく青紫色を含めて赤みがかった着色料が使用されていれば、とにかくラベルをしっかりチェックする必要があります。
消費者庁の注意喚起には記載されていませんが、「ラック」または「ラック色素」という原料にも、気をつけたほうが良いかもしれません。近似種の虫から得られる色素であるためで、コチニール色素含有口紅等でアレルギーを発症した場合は、このラックを経口摂取した場合にも反応してしまう危険性が残されているからです。注意にこしたことはないでしょう。
次回の記事
では、オーガニックコスメが高価にならざるを得ない理由について、書きたいと思います。
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