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GKU平成のまとめ 第1章
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まずは「グリチルリチン酸ジカリウム」がどのような化学物質であるかということを、ご説明させて頂きたいと思います。 グリチルリチン酸ジカリウムの英名は“Glycyrrhizin Dipotassium”となります。そのうちの“Di”は数字の「2」を意味し、“potassium”は「カリウム」のことです。すなわちグリチルリチン酸という物質にカリウム原子が2個くっついた、化学物質となります。そのため「グリチルリチン酸2K」「GKU」または「グリチルリチン酸二カリウム」とも表記されますが、すべて同じ化学物質となります。「グリチルリチン酸ジカリウム」「グリチルリチン酸2K」「GKU」の名称は化粧品に、「グリチルリチン酸二カリウム」の名称は医薬部外品(薬用化粧品)に使用されます。 他にも、グリチルリチン酸アンモニウム(グリチリルリチン酸モノアンモニウム)といった化粧品成分もありますが、基本的にはすべて同じとお考え下さい。 これらのグリチルリチン酸は体内に吸収されると糖が切り離され、グリチルレチン酸という薬効をもつ成分となります。化粧品成分として他にも、グリチルレチン酸ステアリルといった似た名称のもがありますが、これが相当します。水溶性や脂溶性の違いや強弱の違いがあるものの、薬理効果はグリチルリチン酸ジカリウムとすべて同じです。水溶性のグリチルリチン酸ジカリウムは主として、化粧水等に配合されます。いっぽう脂溶性のグリチルレチン酸ステアリルは主として、クリームなどに使用されます。この記事ではグリチルリチン酸ジカリウムまたはグリチルリチン酸2Kとしてお話を進めてまいります。 このグリチルリチン酸ジカリウムは、マメ科カンゾウ属の甘草(カンゾウ)の、根および根茎から得られる、有効成分です。具体的には、ウラルカンゾウ(学名:Glycyrrhiza Uralensis)やスペインカンゾウ(学名:Glycyrrhiza Glabra)といった、種があげられます。学名からお気づきだと思いますが、グリチルリチン酸ジカリウムは甘草(カンゾウ)固有の有効成分です。そのためカンゾウエキスまたはカンゾウ根エキスも、グリチルリチン酸ジカリウムと同じと考えて、差し支えないでしょう。ご存知のように甘草は、漢方薬によく処方される薬草としても有名です。 化粧品や薬用化粧品(医薬部外品)で最もよく目にするのが、「グリチルリチン酸2K」または「グリチリルリチン酸ジカリウム」と思われます。クリーム状や油状のコスメには、脂溶性の「グリチルレチン酸ステアリル」といった表記も、よく目にするでしょう。表示は多少変わることとなりますが、いずれにしても薬効は同じです。 そしてこのグリチルリチン酸ジカリウムはステロイド(副腎皮質ホルモン)と化学構造が似ていて、その効果は「ステロイド様作用」と呼ばれています。(詳しくは後段にて) ステロイドよりは効果が緩やかとされていますが、両成分とも薬効や副作用が強いため、法令で用途や配合量が厳しく規制されていることには、かわりありません。そのため「グリチルリチン酸」だとか「グリチルレチン酸といった名称の化粧品成分が配合された化粧品や薬用化粧品(医薬部外品)には、注意をはらうべきでしょう。 (ブログ分割記事 ココログ/はてな/アメブロ/Blogger) 第2章.漢方での甘草の役割 手作り化粧水の材料を販売しているネットショップなどでは、「甘草エキスは漢方で使用されてきたものだから安全!」などといった、文言が書かれています。はたして本当に、甘草はそれほど安全なのでしょうか? ?? ??? 前項で述べた甘草は、西洋でも古来よりハーブとして利用されてきましたが、ご存知のように日本でも漢方薬として長らく使用されてきた歴史があります。漢方処方の6〜7割に甘草が処方されているため、甘草は漢方薬には不可欠な存在です。風邪薬としても有名な「葛根湯」にも、甘草が配合されています。配合される目的は、配合されている他の成分の効き過ぎを抑えたり(解毒作用)、逆に配合されている他の成分薬効を高めたりと、その処方のまとめ役といった働きをします。またこの成分単体の「甘草湯」などは、咳止めや喉の痛みの緩和等にも、使用されてきました。 日本では漢方薬は、比較的穏やかな働きで副作用は緩やかと、捉える風潮があります。しかしこれは、まったくの誤りです。この誤った風潮は、何十年も前に医薬品メーカーさんがTVCMで、「漢方だから安心」といった誤ったメッセージを送ったことに端を発するようです。それに便乗したように、大手スーパーさんの薬品コーナーでは漢方薬が山積み陳列されるといった、ちょっとした漢方薬ブームがやってきました。しかし大手スーパーさん等で実際販売していたのは、医薬品に精通していないアルバイト店員さんでさえあったというのが実情で、たいへん危うい状況でした。当然ながら健康被害は、かなり続出したようです。「身体に良さそうと思って買ってのんだら、尿が出なくなってしまった。」などといったお客さんの店員さんへの訴えを、医薬品売り場にいる時に耳にした経験があります。 そもそも漢方薬とは、しっかりとした対面販売が基本です。お客さんには椅子に座ってもらい、健康状態はもちろんのこと、顔色や体臭までも確かめた上で、お客さんの体質や症状に合わせた薬を販売するわけです。これは「証をみる」という薬剤師さんによる行為であり、そうして初めて高い安全性が確保された漢方薬を提供できるわけです。ですから「証をみる」ことなしに漢方薬を販売すれば、お客さんに毒を服用させてしまうことにさえなり得るわけです。先ほどの葛根湯でさえ、「証」がはずれる、すなわち体質や風邪の段階に合わないと、逆に風邪を悪化させる等の副作用の危険性が出てきます。そういうわけで、甘草抽出物であるグリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)も、注意が必要というわけです。ですから先ほどの「漢方だから安心」は誤りであり、「漢方は正しく使えば安心」とすべきなのです。 ( 次章 へ) (ブログ分割記事 ココログ/はてな/アメブロ/Blogger) |
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