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高齢者の熱中症の原因と対策
極端な減塩がもたらす危険性
高血圧症等で通院されている方は、この記事はご参考程度に留めていただき、主治医の先生のご指導に従って下さい。念のために最初に、お断りをさせて頂きます。
熱中症とは主として夏季に起こる症状で、屋外で強い直射日光を浴び続けたことによって生じる「日射病」と、高温の屋内や車内などで生じる「熱射病」の総称です。いずれの場合も汗が出ないまたは出にくくなって、体温をコントロールできない状態となります。場合によっては体温が40℃以上に達するため、とくにお子様やご高齢者の方は注意が必要とされています。
この熱中症を発症しないためには、もちろん高温または高温多湿の環境下に長時間いることを避けるべきでしょうが、ご存知のように「こまめな水分補給」という言葉がよく言われています。しかしこの場合の「水分」は単なる水(H2O)であるべきと考え、冷水やお茶だけで、喉の渇きを癒す方が少なくありません。また、スポーツドリンクや経口補水液のほうが効果的とおわかりであっても、敬遠されるかたが結構いらっしゃるようです。理由は、塩分の取り過ぎを気にされてのことです。
確かに「日本人の食事摂取基準2020年度版」では、塩分相当量としての目標値は男性で7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満、さらに高血圧および慢性腎臓病の重症化予防のための食塩相当量は、男女とも6.0g/日未満という数値が定められています。高血圧症や胃がん発症予防には、減塩は大切なことかもしれません。しかしこれらの数値は健康維持のためには何が何でも守らなければならないというわけでなく、むしろ臨機応変に望まなければなりません。
環境省のホームページでは、「大量の発汗がある場合は水だけでなく、スポーツ飲料などの塩分濃度0.1 〜 0.2%程度の水分摂取が薦められます。」と記載されています。また先ほどの「日本人の食事摂取基準2020年度版」でも、但し書きが伴うものの「近年の我が国の特に夏季の気温の上昇を考慮すると、熱中症対策としても適量の食塩摂取は必要であろう。」と注意がなされています。微量の発汗時は別として、それなりに汗をかいた場合は、やはり適量の塩分が溶け込んだ水を摂取することが、熱中症対策になるのは確かでしょう。
(
2020年8月22日付けココログ記事
より転載
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しかしこの場合の「塩分」とは、何であるかが問題となります。弊社は海水や海藻などの海洋資源を利用したスキンケア製品、すなわちタラソテラピー化粧品の企画・販売をしております。タラソテラピー化粧品には、いわゆるバスソルトであるタラソテラピー入浴料のほか、タラソテラピー海藻パック(タラソパック)などもございます。
これらのスキンケア製品のもっとも重要な働きは、お肌に潤いを与えることです。角質層内が常時みずみずしく潤っていて、かつ健全な身体であれば、経口摂取した栄養成分はお肌に届き、お肌を若々しく保つことが可能です。また不要な老廃物の排出もスムーズとなり、透明肌を維持することも可能でしょう。
これを逆からいえば、スキンケア製品には「抗酸化成分」や「美白成分」などといった、飾り立てる特別な美容成分は必要ないのです。保湿する能力がないから、他の成分でごまかそうとしているのではと、アルガ・アイは考えます。ほんとうにお肌が潤えば、乾燥肌に起因する毛穴の開きやテカリ/脂浮きや粉ふき肌などは、少なくとも弊社の経験では、まずありえないことです。
その他にも弊社では、角質層に素早く浸透して強力な保湿効果を発揮する、化粧水の実験・企画などもおこなっております。この商材の研究では、じつにさまざまな実験を行いました。重要な点としては、@敏感肌に対応できるぎりぎりまでアルカリ度を上げること、A水分を角質層内に浸透させて留めること、この2点です。今回のテーマに関係することは、このうちのAです。
塩基類の含有量が低いまたは殆ど含まない水道水や精製水は、それだけでお肌になかなか浸透しません。仮にパッティングで浸透させたとしても、すぐに乾いてしまいます。ためしに代表的な保湿成分であるグリセリンを添加した場合は、浸透せずにいつまでも肌上に残り、お肌がベタベタとべたつきます。次に真水に塩化ナトリウム(食塩)を加えた生理食塩水で試してみましたが、やはりお肌への浸透はみられませんでした。
しかし水に塩化ナトリウム以外の、カリウムやマグネシウムやカルシウムなどの塩基類を配合することで、お肌に塗布するだけで吸い込まれていきます。さらにグリセリンを加えた場合は、肌上にベタツキが殆ど残らないことから、100%近くお肌に吸収されたことになります。その塩基類+グリセリンの溶液を、Tゾーンなどのテカリやすい部位へ塗布した場合は、長時間にわたってテカリさえも抑えることが可能となります。すなわち、角質層内にしっかり水分が、とどまっている証拠です。
もちろん経口摂取と経皮摂取では、経路もメカニズムも違ってくるでしょう。しかし最終的には、人体の細胞への水分補給であることには、かわりないことです。すなわち「水分補給」とは、さまざまな塩基類と水(H2O)を同時に摂取することです。これを実現できる代表的な食品は、スポーツドリンクや経口補水液に代表されるアイソトニックドリンクです。アイソトニックとは、体液にほぼ等しい浸透圧を持たせたもので、細胞が吸収しやすくなるメリットがあります。弊社が実験を行っていたのは、アイソトニック化粧水というわけです。
お肌への水分補給の場合は、ある程度正確な塩基類の濃度にしておく必要があります。経口摂取の場合も、アイソトニックドリンクのように精度が高ければ吸収スピードも速まりますが、通常の食品で各ミネラルをしっかり摂取さえすれば、それらは時間をかけて体液成分として活躍することとなります。
問題は、それらのミネラルを摂取できないということが、減塩生活において発生する危険性があります。ふたたび「日本人の食事摂取基準2020年度版」に戻りますが、「(摂取基準の)活用に当たっての留意事項」として、下記のような注意がなされています。
高齢者では食欲低下があり、極端なナトリウム制限(減塩)はエネルギーやたんぱく質を始め多くの栄養素の摂取量の低下を招き、フレイル(身体的機能低下という意味)等につながることも考えられる。したがって、高齢者におけるナトリウム制限(減塩)は、健康状態、病態及び摂食量全体を見て弾力的に運用すべきである。
要するに、減塩によって食が進まなくなってしまっては、元も子もないということです。熱中症で搬送されるご高齢者は、単に塩化ナトリウムだけでなく、マグネシウムなどの他のミネラルの不足も報告されています。ですから、「こまめな水分補給」による熱中症対策とは、しっかりとした食事による栄養摂取が、大前提となるべきなのです。
(
2020年8月23日付けココログ
記事より転載
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さらにご高齢者には、知らず知らずのうちにナトリウム不足に陥る危険性が、他にもあるようです。塩分を含む栄養摂取を考察する際に基本となるのは、やはり厚生労働省によって策定された「食事摂取基準」です。これは5年毎に見直され、世界中の新たな研究データなどが反映されて、アップデートされます。まことにありがたい、行政サービスです。
前々回の記事では、2020年度版に記載されている内容を引用させて頂きましたが、今回の記事では20年前の「第六次改訂 食事摂取基準」の内容に、触れたいと思います。なお2000年以前は呼称が少々違っていて、「第六次」とは「2000年度版」とご理解下さい。この「第六次改訂 食事摂取基準」のナトリウムの項では、下記のような記載があります。
高齢者は、腎臓におけるナトリウム再吸収能が低下しているため、厳しい減塩によりナトリウムと水の欠乏症を起こしやすいので、個別に対応すべきである。
味覚障害が起こっている場合は別として、発汗などにより塩化ナトリウムが失われると、塩辛さが恋しくなるものです。私自身は炎天下でもスポーツを楽しむため、半日だけで3〜4リットルの汗をかきます。そんな時には食塩相当量が1%の、食塩添加のトマトジュースを、1リットル飲みます。10グラムもの食塩摂取となるわけですが、翌日はすっきり体力が戻っています。逆にそれぐらいの塩分摂取をしない場合は、翌日の月曜日から週半ばまで、疲労感(しんどさ)が残ります。
当初食塩1%は濃すぎるのではと思ったのですが、よくよく考えると理想的なのです。トマトジュース1リットルには、カリウムが3グラム程度含有されます。塩分相当量が1リットルで10グラムということは、ナトリウム換算で4グラムとなります。ナトカリ比(ナトリウム/カリウム)は2以下が理想とされていますので、充分その範囲内となります。もちろん私は高血圧症の予兆すらなく、いたって健康です。
ご参考までですが、この食塩1%配合のトマトジュースは、業務スーパーさんで見つけた商材です。トルコからの輸入品ですが、お味は私好みの濃厚なお味で美味です。食塩無添加も販売されています。お値段は税別で125円でした。
但しこの塩分多目のトマトジュースを通常の時に飲むとたいへん塩辛く、とてもゴクゴク飲めたものではありません。要するに、時と場合によって食塩はそれなりに摂取すべきであり、日頃は控えておくべきでしょう。これが厚生労働省が国民に呼びかけている、「弾力的に運用すべき」という文言ではないでしょうか。
トマトジュースに関するお話を続けますが、近くのスーパーマーケットの定番の棚には、食塩を添加したトマトジュースがすべて外されてしまっているのです。棚には3つのブランドのペットボトル入りのトマトジュースが陳列されていますが、すべて食塩無添加なのです。減塩はもちろん大切なことでしょうが、少々やりすぎのような気もします。もちろん消費者自身で、購入後に食塩を添加するという方法はありますが・・・。
これ以外にも最近の「減塩ブーム」には、暴論とも思えるようなものも見かけます。その最たるものは「和食は塩分が多いので、洋食を取り入れるべき。」といった主張です。長寿国日本を支えてきた和食を控えて、西洋人の真似をしろというわけで、なかなか理解に苦しむところです。これらを含めて近日中に、減塩についてのまとめ記事を、書きたいと思います。
(
2020年5月24日付けココログ記事
より転載
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