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化粧品の防腐剤 フェノキシエタノール vs パラベン
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最初にお断りしますが、防腐剤を添加したコスメや化粧水の、悪口を言いたくて、この記事を書いていわけではございません。化学防腐剤にせよ天然防腐剤にせよ、それらは研究者たちの尊い努力によって開発されたたまものであり、消費者の皆さんの安全をも考えてのことです。腐敗した化粧品を間違って塗布してしまった場合は、お肌に大きなダメージを与えることがあります。決して防腐剤を肯定しているわけではありませんが、防腐剤を含んだ化粧品を上手に、そしてより安全に使用する知恵が必要と考えます。 化粧品に配合される代表的な防腐剤として、「パラベン」と「フェノキシエタノール」が挙げられます。インターネット上をググれば、過剰なほどパラベンがバッシングされています。いっぽうフェノキシエタノールは、まるで救世主のような扱いで、美容サイトによっては褒めちぎられています。決してパラベンの味方をするわけではありませんが、とにかく理不尽ともいえる非論理的な手法により、フェノキシエタノールが過度に擁護されていている状況に、違和感を禁じえません。 1.パラベンのほうが危険だとする偏った主張 フェノキシエタノールよりパラベンが危険だとする代表的な主張は、パラベンが「旧指定成分」だという理由によるものです。 旧指定成分とは、2001年3月以前に化粧品会社に課せられていた、制度によるものです。アレルギーや発がん性・催奇性などの危険性が懸念される102種の化粧品成分は、消費者にわかるように表示しなさいというものでした。言い換えれば、その成分を含んだ化粧品はそれなりの毒性があるので、消費者は認識して使いなさいという、国からの注意喚起というわけです。この制度では指定成分以外の表示は、免除されていました。これらの指定成分の配合量は、化粧品を長期間連用する前提での一定の安全性を確保するために、厳しく制限されていました。その102種の指定成分に、パラベン(メチルパラベン/プロピルパラベン/ブチルパラベン/パラオキシ安息香酸エステル)が含まれていたというわけです。 2001年4月に化粧品に関する法令が大きく変わる際に、この指定成分の制度は廃止となり、代わりに全成分表示が義務付けられることとなりました。102種の指定成分の他にも、アレルギー等の危険性が懸念されるものがあるため、すべてを消費者に開示すべきといった、国の政策にそった制度です。これにより国は消費者に、化粧品の全成分をチェックして安全確保を図るようにと、一定の責任をもたせたわけです。この時期を境として、それまでの指定成分は便宜上、「旧指定成分」とよばれるようになりました。 こういった事実をもとに、防腐剤としてフェノキシエタノールが配合された化粧水等コスメの宣伝では、「パラベンは旧指定成分だから危険!」、「フェノキシエタノールは旧指定成分ではないため安全!!」といったキャッチフレーズが多用されるわけです。また、フェノキシエタノール配合コスメを「(旧指定成分)無添加コスメといった宣伝さえまでも、堂々となされる場合もあります。消費者からしてみれば、「防腐剤のフェノキシエタノールが入っているから、無添加化粧品じゃないじゃん!」と言いたくなりますが、このような馬鹿馬鹿しい屁理屈がまかり通るのが、残念ながら化粧品業界の現状です。 しかしフェノキシエタノールは、化粧品成分としては比較的新しい防腐剤です。よくアルコール(エタノール)と混同されることもあるようですが、まったくの別物です。アルコールの毒性は、お肌を著しく乾燥させる程度のものです。(ただしアトピー性皮膚炎や敏感肌の方には天然/合成にかかわらずアルコール配合はタブー) もし2001年以前にフェノキシエタノールが化粧品に頻繁に使用されていたら、表示指定成分になっていた可能性があります。フェノキシエタノールには強い毒性があるためにパラベンと同様に、配合量は厳しく規制されています。 以上のように、パラベンは旧指定成分だからフェノキシエタノールよりも危険とする理屈は、まったくもっておかしいわけです。 2.フェノキシエタノールは天然由来だから安全? 他にフェノキシエタノールの安全性を高く見せかけるトリックとして、「フェノキシエタノールは玉露からも得られる天然由来成分だから安全!」といった、キャッチフレーズもよく見かけます。しかし茶葉を生で食する方は、まずおられないでしょう。植物は虫を引き寄せるために甘い香りを出すこともあれば、身を守るために猛毒を産生することもあります。 ホルマリン(ホルムアルデヒド)といえば、言わずと知れた発がん性のある猛毒の殺菌剤です。シイタケは微量ながらこの猛毒を作り出し、自ら身にまとい身をまもります。ですから通常シイタケは、加熱してホルマリンが蒸発したものを食します。「ホルマリンは天然の防腐剤であるから安全」だと、主張する方はいないでしょう。もちろんホルマリンを防腐剤に使った国産の化粧品など、まず存在しません。 以上のように、インターネット上で見かけるパラベンバッシングやフェノキシエタノール擁護論には、まともな論理性が備わっていません。こういった誤った主張を排除した上で、フェノキシエタノールとパラベンの安全性/危険性を比較する必要があります。 3.双方の経皮摂取における具体的な危険性 環境ホルモン性においては、パラベンだけでなく、フェノキシエタノールにも、強い疑いがあります。アレルギー発症のリスクに関しては、パラベンは明らかにありますが、フェノキシエタノールにもあるとされています。日本ではあまりフェノキシエタノールによるアレルギーの危険性は危惧されていないようですが、海外では状況は違うようです。フェノキシエタノールはインクや染料などの生活に密着した物資に多用されているため、一旦アレルギーを発症すると厄介な側面があるようです。パラベンには発がん性や催奇性の疑いが濃厚とされていますが、フェノキシエタノールには現時点では大丈夫なようです。しかしフェノキシエタノールの妊娠中の胎児への悪影響は、否定できないようです。 フェノキシエタノールに比べて、パラベンの経皮摂取における安全性/危険性に関するデータは、それ相応に蓄積されています。しかしフェノキシエタノールに関しは、まだまだこれからといった側面があるという点は、注意しておくべきでしょう。ある日突然想定外の危険性が発覚することは、よくあることです。 4.双方の経口摂取における危険性 次に経口摂取の場合は、圧倒的にパラベンのほうが安全性が高いといえます。そのためパラベンは、食品添加物としても使用されているわけです。いっぽうフェノキシエタノールは猛毒であり、決して食品に使用できません。ですからフェノキシエタノール配合化粧水などは、子供さんが誤飲しないような、厳重な管理が必要かもしれません。 5.フェノキシエタノール特有の危険性 次にフェノキシエタノールが揮発性がゆえの、危険性を考察したいと思います。フェノキシエタノールが揮発してガス化すると、有毒ガスとして周囲に飛散するデメリットがあります。もちろんサリンなどの殺傷能力なある猛毒ガスではありませんが、お肌から蒸発したフェノキシエタノールが咽頭痛(喉痛)や咳を引き起こすリスクがあります。ですからお子様が喘息の症状がある場合に、お子様と同じ室内でフェノキシエタノール配合化粧水や化粧品を使用することは、虐待にも近い行為になる可能性があります。また、インフルエンザや風疹が流行っている時期は、注意が必要かもしれません。 その他の悪影響として、頭痛を引き起こす危険性もあります。 フェノキシエタノール吸入によって生じた頭痛対策に、イブプロフェン等の消炎鎮痛剤(NSAIDs)を気軽に長期連用や、いわゆる「倍飲み」をしていたら、今回のテーマを議論すること自体ナンセンスなほどの、重篤な身体的ダメージを引き起こします。なおイブプロフェン製剤は現在では簡単に入手できますが、旧指定医薬品です。ご参考まで。 以上のようにフェノキシエタノールには、揮発性がゆえの危険性があります。頭痛や咳・喘息でお悩みの方は、フェノキシエタノール配合コスメを使用すべきではないでしょう。またフェノキシエタノールは有毒ガスとして周囲に飛散するため、不特定多数の第三者に被害を与えます。フェノキシエタノール配合コスメを使用しての「電車でメイク」は、迷惑行為をはるかに通り越した、暴力的な行為ともいえるかもしれません。同じ車両に化学物質過敏症(CS)の患者さんがおられたら、患者さんにとって車内は地獄と化します。 6.フェノキシエタノールとうつ病発症の因果関係 お話は化粧品から逸れますが、うつ病患者さんのうちで印刷工場での勤務ご経験者は、少なくないようです。正確な統計をとったわけではありませんが、たいへん気になるところです。Googleで検索をすると、「うつ病」の候補キーワードとして「印刷業」が表示されることからも、この事実はほぼ間違いないでしょう。 印刷会社の社員さんでうつ病に陥る原因として、よく「多忙さ」が挙げられるようです。印刷会社さんはブラック企業が多いから、過剰な労働を強いられているといった、ご意見もあるようです。確かに業務の多忙さで心が押し潰されて、不幸にもうつ病を発症される方は多いようです。(「ブラック企業」は、発言者の言葉をそのまま引用) とくに真面目なご性格の方は、要注意とされています。ある程度デタラメな性格のほうが、うつ病にかからないとも! アルガ・アイが今一つの原因として注視しているのが、インクに使用される「フェノキシエタノール」です。このフェノキシエタノールの代表的な用途は印刷工場で使用されるインクで、揮発性の高い化学物質です。印刷現場で適切な排気措置が講じられていないと、現場労働者の方々は気化したフェノキシエタノールを、ずっと吸入し続けることになります。 じつは海外では、うつ病発症との因果関係がよく論じられています。弊社アドバイザー医師の北廣美先生(奈良県三郷町 医療法人やわらぎ会理事長/代替医療ではとても有名)によれば、はっきりとした事実までは確認できていないものの、やはりその疑いは否定できないとのことです。 以上のことからうつ病患者さんは、フェノキシエタノール配合されていない化粧水等コスメやスキンケア製品を選択されるほうが、無難といえるでしょう。医療機関から処方されたお薬の効果以上の悪影響を受ければ、うつ病改善が困難になったり悪化することも懸念されるからです。またご家族にうつ病の患者さんがおられる場合は、フェノキシエタノール配合コスメの塗布は換気扇の下で行うなどの、工夫が必要かもしれません。思い切って化粧水や乳液だけでなく、ファンデーションや化粧下地クリームなどのベースメイク品やマスカラやチークなどのポイントメイク商材もすべて、フェノキシエタノール不使用品へ切り替えたほうがベターでしょう。 7.弊社のお客様の体験談等の情報 弊社はタラソテラピー海藻パック等のタラソテラピー化粧品の他、手作り化粧水の材料や容器を販売している関係上、自称「超敏感肌」のお客様よりご注文やお問合せをよく頂戴いたします。その際にお客様がそれまで使ってこられた化粧水の体験談をよく伺うのですが、不思議なほどパラベン配合化粧水で肌トラブルを生じた方はおられないのが実情です。同様のことをアトピー性皮膚炎の患者さん団体の理事長様も仰せでした。すなわち低刺激性においては、パラベンのほうが優れているということです。 パラベン配合化粧水で問題がなかったのにもかかわらず、パラベンに対する悪口やバッシングが気になって、パラベン以外の防腐剤配合化粧水に切り替えたら肌トラブルを生じたという方が、とても多いのです。肌トラブル発生でダントツで多いのが、ローズマリー葉エキス配合品です。次いで1,2-ヘキサンジオール配合商材、そしてフェノキシエタノール配合品です。つまり、インターネット上の大勢の意見とは、真逆の結果というわけです。 8.結論 まだまだ不明な点も多いため、どちらがより危険とは明確に断定することはできないでしょう。また配合されている、量にもよるでしょう。しかし以上のように考察してみると、いずれかの防腐剤を使用するのであれば、パラベンのほうが安全性が高く無難といえるかもしれません。そして今ひとつ大事なことは、生活スタイルに合わせてトータルで考えるべきということです。たとえば読者様が頭痛でお悩みの場合は、パラベン配合品が適している可能性が高いということです。弊社は決して防腐剤を肯定したい立場ではありませんが、このような結論に至りました。 なお、パラベン配合化粧品にしてもフェノキシエタノール配合化粧品にしても、肌荒れが生じるなどお肌に合わない場合は、すぐにご使用を中止すべきです。単なる刺激性接触皮膚炎ではなく、アレルギー性接触皮膚炎の可能性があります。アレルギーは重篤化すると世代をまたいで遺伝する可能性が高いため、細心の注意が必要です。 読者様がどちらの防腐剤もお肌に合わない場合や、妊娠中または授乳中の場合は、単純な成分の手作り化粧水をおすすめ致します。お腹に赤ちゃんがいる時や小さなお子様がおられる時にだけでも、防腐剤無添加の手作り化粧水をお使いになられていはいかがでしょうか。 追記 パラベンとフェノキシエタノールを組み合わせることで、抗菌・殺菌効果に相乗効果が得られるため、少しでも防腐剤の配合量を減量できて人体への安全性が高まるといった主張があるようです。一見すればたのもしいことのように思えますが、アルガアイ的な観点からすれば、防腐剤を少なくできる分コストダウンができるに過ぎず、人体への安全性が高まるわけではありません。 なぜなら、カビや雑菌に対して抗菌性が高まるということは、カビや雑菌に対する毒性が高まるということです。それはすなわち、相乗効果で人体への毒性も高まっているとみるべきです。その観点がゴゾっと抜け落ちてしまっているのです。このようなバランスを欠いた理屈は、残念ながら化粧品業界に蔓延しています。そのあたりも充分に、お気を付け下さいませ。 (ココログの関連記事) (はてなブログ内の 記事@ 記事A ) ( アメブロ内の 記事@ 記事A ) (Bloggerの関連記事) |
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